故郷はどこ?

手がかりを求めて

スティーブさんは、現在はサンフランシスコのサンラファエルに奥さんのプシュパさんと住んでいる。

スティーブさんが毎年日本に演奏に来るようになって、もう数年が経つ。スティーブさんを彼のおじいさんの出身の地に連れていきたい、これはここしばらくの我々の大きなテーマだった。

 

最初は「Shiga? Shikoku?」とあやふやだった故郷の名前も、「Shikoku」の「Ehime」だということがわかった。とはいえ、愛媛県だって広い。岡山出身の私でも、愛媛県で行ったことがあるのは道後温泉くらいだ。なにをどうしたらスティーブさんのおじいさんの故郷に近づくのか、まったく雲を掴むような話だった。

 

そんなスティーブさんの故郷に私たちが大きく一歩近づいたのは、昨年の春のことだ。たろうがエクアドルツアーの帰りに、スティーブさんの住むサンラファエルに立ち寄ることになった。私はその間、母の世話をするため、倉敷に戻っていた。

 

ある夜、倉敷の母の家で過ごしていた私に、サンラファエルのスティーブさんの家にいるたろうからメールが入った。

「スティーブさんのおじいさんの情報わかった。Mosaburo Oda、愛媛県、佐島出身。」

あわててパソコンを立ち上げ、愛媛県、佐島で検索、小さな島の地図が出てくる。情報が少ない。

 

東京の国会図書館にいけば移民者名簿があり、日本から海外に移民した人の情報が見られる筈だという。検索を続けると、国会図書館のHPで移民者のリストの中からおじいさんの名前までは見つけることができた。しかし本人に関する詳細は国会図書館に行って調べるしかなさそうだ。倉敷からではどうしようもない。