しまなみ海道を通って尾道のゲストハウスに戻った私たちに、オーナーの高橋さんが「これです」とDVDを手渡してくれた。
「おばあちゃんのガーデン」というタイトルのDVDをパソコンで見る。そこには尾道からカナダに移民したリンダ・オーハマ監督の「おばあちゃん」の物語が描かれていた。画面の中でおこることと、現実に今私が見聞きしているスティーブさんのおじいさん、おばあさんのこととが重なりあい、錯綜して、なんだかいろいろ混乱してしまった。
若い時に写真見合いでカナダに渡ったオーハマ監督のおばあちゃんは、100歳ながらことばの端々に英語が混じり、海外で長年暮らした人特有の日本人離れしたハイカラさを持っていた。
スティーブさんのおばあちゃんがカナダに行ったのはもう少し前の時代だし、もののふの元に嫁入りした訳だから、こんな風に解放されることはなかったのかもな。と思う。厳格な夫とともに、キチンと日本の風習を守り、日本でしていた食事を再現し、娘たちにはおせちを作らせ、子供達は日系人と結婚させる。
明治時代に始まった移民は100年近く続いたという。
それぞれの時代時代で、いろんな青春、いろんな家族の形があったことだろう。その間に戦争という大きな川が横たわっている。アメリカとカナダで帰化しているにも関わらず、日系人だけが収容所キャンプに入れられた時代。キャンプを出た時には家も土地も、すべての財産が取り上げられていたという。
リンダ・オーハマ監督「OBACHAN’S GARDEN」邦題「おばあちゃんのガーデン」(2001年)
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